エネルギー生産を支える血管と栄養

みなさんは人がエネルギーを作る過程で大切なのはなんだと思いますか?

 

人は食事をして、それが直接エネルギーになるのではなく、食事にて摂取された栄養素が利用され、エネルギーを作ります。

 

食べ物は胃や腸などで消化・吸収されます。では胃や腸から直接細胞へ栄養素が送られるのでしょうか?

これが違うことはみなさんわかりますよね。栄養素は「血管」を通って送られます。

つまり血管がエネルギーを作る上で大切ということです。

 

なので今回は「エネルギー生産を支える血管と栄養」について書いていきます。

 

【血管を整える】

効率的にエネルギーを作るためには血管内を栄養素がうまく細胞へ運ばれればいいということになります。つまり「血管を整える」ということが大切です。

 

では血管を整えるために必要なことはなんでしょう?

やはり「運動」「食事」ではないでしょうか。いろいろ意見はあると思いますが。

今回は「食事」に関して書いていこうと思います。

 

【食事で血管を整える】

「食事で血管を整える」と言われ、どのような食事を想像しますか?

やはり野菜中心の食事でしょうか?

効率を考えなければ野菜中心に食べれば、問題ないかもしれませんね。でもどうせなら効率的な方がいいですよね。

そこで「食事で血管を整える」ための3つの要素について抑えましょう!

 

【食事で血管を整えるための3要素】

➀血管(物質を運搬する道路)

②血流(物質を運搬する道路の車の流れ)

③血球(物質を運搬する車)

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(➀血管)

血管は物質を運ぶための道です。当然ですが、道に障害物があったり、細いと物質がうまく運べなくなります。

この原因となるのは、LDLコレステロール中性脂肪です。ただしこれがそのままあっても問題はありません。問題はこれが酸化することです。

LDLコレステロール中性脂肪が酸化し、それが元で動脈硬化プラークが生じます。これが血管の流れを阻害します。

つまり酸化を予防すればいい。そして予防に大切なのがビタミンACEです。

ビタミンACE(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンC)には抗酸化作用があります。

これを取れば道は正常に機能するということになります。

 

(②血流)

血流は物質を運ぶ流れになります。流れが悪いと、物質は運べずに滞ります。

この原因はLDLコレステロール中性脂肪です。これは血中濃度が高いことで生じます。よってこれを減らす必要があります。摂取量を減らすのも一つですが…

EPADHAを摂取することでも、LDLコレステロール中性脂肪を下げることが可能です。これを取れば道は円滑に流れます。

 

(③血球)

血球は物質を運ぶ乗り物です。血球の機能が悪いと、物をしっかり運べなくなります。

赤血球はエネルギー生産に必要な酸素を運搬します。つまりエネルギーを作る上では赤血球の機能改善も必要です。

赤血球が酸素を運ぶには、鉄が必要です。つまりを摂取すればいいのですが、その際注意したいのが、カルシウム亜鉛マグネシウムの4つのバランスです。

これらは過剰摂取されると別のものの吸収を抑制するという作用があります。なので摂取には注意が必要です。下の図はそれを表したものになります。

※鉄もそうですが、その他の物質を摂取する際も注意してください。

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【まとめ】

血管によって多くの物質が運ばれます。

つまり血管機能低下は色々な弊害が生じます。

今回は3つの要素とその改善について書きました。それ以外にも血管を整える方法はありますが…

「病院やスポーツ現場で見ている人がやけに疲労の訴えが多いな~」

「じゃあ持久力訓練だ!!!」

これがかえって逆効果のことも。包括的に見るためにも食事内容は確認した方がいいのかもしれませんね。

 

エビデンスのみでなく、物語を考えるリハビリを

皆さんはリハビリを行う上で、必要だと思うことは何ですか?

働くうえで様々な事を考えていると思いますが…

 

では皆さんは「EBM」と「NBM」という言葉をご存じでしょうか?

EBM」は聞いたことある方が多数だと思います。「NBM」については聞いたことありますか。

今回は「NBM」とはどういうものなのか、「EBM」のことを復習しつつ学んでいきましょう。

 

EBMとは】

EBMとはEvidencn Based Medicineの略で、日本語では「根拠に基づく医療」と訳されます。

以前は専門家の医学的知識・経験が中心として医療は提供されていました。

現在は研究などで証明されたもの「科学的根拠(エビデンス)」を重視した上で、適した医療の提供を行っています。

つまり集められたデータをもとに治療を行うということですね。

しかしこの集められてデータはすべての人に当てはまるというものではありません。あくまでも一般論や確率論なのです。

にもかかわらず、現場では「それってエビデンスあるの?」っていう先輩やバイザーが多いと思いません?

エビデンス」、「エビデンス」、「エビデンス」そればっかり見てるなら、データ入力してコンピューターに治療法を出してもらった方がいいですよね。

でもそれで患者さん満足してくれますかね?

そこで、現在問題を包括的に考えるために提唱されているのが「NBM」なのです。

 

【NBMとは】

Narrative Based Medicineの略で、日本語では「物語に基づいた医療」という意味で、英国の開業医が提唱しました。

Narrativeは物語と訳され、対話によって患者さんが語る、それぞれの病気になった理由や経緯、病気についてどのように考えているかなど患者さんと病気の「物語」を聞くことで、病気の背景や人間関係を理解し、患者さんが抱えている問題を幅広い視野(身体的、精神的・心理的、社会的)で見てアプローチしていくというものです。

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よく医師に関してこのNBMについて書かれている記事を目にします。

しかしセラピストも同じだと思います。

痛みを取ればいい。歩ければいい。トイレに行ければいい。だけが患者さんの望むことではない。

患者さんの訴えを聞くことはしていても、あらゆる問題を想定しないと結局意味ない。

エビデンスももちろん必要だけど、患者さんの物語を知ることも大切。

そして自分がその物語の歯車の一部になるつもりでやらないと。

 

EBMのみでなく、EBM+NBMが大切だと思いませんか?

 

 

 

 

エネルギーを作ることは身体にダメージ!?

前回はATP生産の過程をまとめました。

自分的にはわかりやすくしたつもりですが、やはり難しいですね。

 

前回、エネルギーを作るという事に対して、アプローチしてくい方法を書くと言っていましたが…

 

まとめてる際に、もう1つ伝えるべきことがあったので、そちらを先に伝えていきます。

 

今回のテーマは

『エネルギー産生と酸化、抗酸化』です。

 

エネルギーを作る過程で、酸素が必要ということを前回伝えました。

 

その過程で取り込んだ酸素の一部が形を変えて、とある物質になることがあります。

 

その物質の名は『活性酸素』です。

 

これを人としてイメージするなら、反抗期の高校生みたいな感じです!

何かあれば物を傷付ける様な。

 

活性酸素も不安で、自分が安定するために、周りの組織を傷つけていきます。

それを酸化というのですが、これは皆さん必ず一度は見たことがあると思います。

 

切ったりんごを放置すると、表面が茶色になりますよね?あれが酸化です。

あれも空気中の酸素により、りんごの細胞が傷つけられた結果です。

 

あの現象が身体で起きているということです。エネルギーを作るたびに、そんな事が起きているなんて、ゾッとしますね。

 

よく酸化=老化なんて書いてある事もあります。

あれ?じゃあなんで人はすぐに老化しないんですかね?不思議じゃないですか?

 

それは身体の中に酸化に対して抗酸化する物質が含まれるからです。

だから人は直ぐには酸化しません。

しかし老化するということは、徐々に酸化しているということです。

またこの作用は

・強いストレス ・睡眠不足 ・大気汚染

・喫煙 ・激しい運動

などによって強化されます。

 

現代社会は活性酸素にとっては活動しやすい環境ってことですね。

 

まぁしょうがないと考えるのは自由です。

しかしそういう環境でセラピストとして働く僕らはそれではいけません。

 

活性酸素が血管にダメージを与えれば、人体に必要な酸素や栄養が行き渡らなくなる。

そうすると、何が起こるか…

エネルギーが作れません。つまり疲労に繋がります。

活性酸素が筋肉を傷つけると、筋肉痛などの原因になるとも言われています。

 

結果として…

高齢者では疲労や筋肉痛によって、活動量低下が生じ、それに伴い身体機能低下や筋力低下に繋がる事も考えられます。

つまり最近よく耳にする『サルコペニア』『フレイル』に繋がるという事です。

アスリートでは、運動そのもので活性酸素はさらに増加し、疲労や筋肉痛はもちろんですが、それに伴うパフォーマンス低下も予想されるということです。

 

エネルギー産生による酸化は、僕らは目を背けてはいけないという事です。

 

ではどうすればいいのか?

抗酸化物質を摂取すればいいのです。

代表的なものは

・ビタミンC ・ビタミンEカテキン

イソフラボンポリフェノール 

リコピンアントシアニン などなど

調べればたくさん出てきます。

 

だから高齢者にもアスリートにもたくさん食べてもらいましょう!!!

以上で今回のブログは終わりです。

ありがとうございました。

 

 

ってなるわけない。

ここで辛いお知らせです。

どんな人でも、抗酸化物質はとにかく取ればいいというものではない。

 

一過性の大きな酸化ストレスが予測される場合は、効果的だと言われています。

 

その一方で運動をすると一般的にはインスリン感受性は上がるのですが、抗酸化物質を摂取する事でこの作用が打ち消されてしまう事があるそうです。

 

つまり上手く使用しないと抗酸化物質が有害になるということです。

しっかりその方の状態等を評価し、導入する事を検討していきましょう!

 

残念な事に、どのくらい摂取した方がいいなどの報告が少ないというのが現状です。

新しい情報入手し次第、随時更新していきます!!!

 

 

【まとめ】

皆さんが指導している、運動が害になるなんて事を考えた事はありましたか?

人は絶えず酸化という現象に侵されており、ストレスを受けています。

これを見ないで健康のためにとにかく運動をなんてしていたら、逆に不健康になります。

しっかりこの観点について考えて、治療する方がかっこいいと思うのは、自分だけでしょうか?ぜひ新しい視野の1つとして考えてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ATP生産工場

前回からの続きです。

前回はATPが生命活動に非常に大切であるとお伝えしました。

 

今回はATPを理解する上で、避けては通ることができない、ATPができるまでをまとめていこうと思います。

 

ATPの生産工場は、各細胞にある解糖系、TCA回路、電子伝達系の3つです。

一度は聞いた事あるでしょうか?

そしてATPの元になるのは炭水化物、脂質、タンパク質です。これらが分解し、形を変えATPとなっていきます。

 

・炭水化物とタンパク質(アミノ酸が糖に変化して[糖新生])はグルコース

・脂質は脂肪酸

という形で材料として使用されます。

 

ここからATP生産について、記載していくのですが…

 

正直いって、教科書やネットに書いてある内容は複雑すぎる。

そこまで深く理解する必要がないというのが、勉強してみた感想です。

 

なのでやや簡潔にまとめていきます。

 

まずはどのようにATPを作るかを見ていきましょう。

ATP生産の過程を見ていくうえで、2つの過程に分けて考えていきます。

⑴解糖系とTCA回路

⑵電子伝達系  

 

⑴解糖系とTCA回路(図1)

〇解糖系

 解糖系は読んで字のごとく、糖を分解し、ATPを作っていく過程になります。

よってグルコースの元となる炭水化物とタンパク質がこの解糖系に関与します。

グルコース1個→ピルビン酸2個になる過程で、2個のATPを使用し、4個のATPができるため、解糖系で2個のATPが作られます。

 

〇TCA回路

TCA回路はアセチルCoAを作ることから始まります。

アセチルCoAが作る過程は2つあります。

1.解糖系よりできたピルビン酸をアセチルCoAへ変化させる。

2.脂肪酸をβ酸化させ、アセチルCoAを作る。

その後、アセチルCoAがTCA回路内に入り、複数の変化をしFADH、NADH、GTPやCO2などが作られます。

なおこの際作られたFADH、NADHは電子伝達系にて使用されます。

 

図1)

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⑵電子伝達系(図2)

解糖系やTCA回路にて作られたNADHとFADHは電子伝達系へと運ばれます。

➀NADHやFADHからH⁺が取り除かれる。

②取り除かれたH⁺はミトコンドリア内からミトコンドリア内膜と外膜の間に出る。

③H⁺がミトコンドリア内に戻る際の反応を用いて、ATPが作られます。

④使用されたH⁺はO₂(酸素)と結びつき、水が作られます。

※電子伝達系の最終反応として水を作る際に、酸素が必要となります。

図2)

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次はそれぞれの材料で、どのくらいのATPができるか。

グルコースの場合はすべての生産工場を経て、ATPを36個作ります。

脂肪酸の場合は、解糖系以外の生産工場を経て、ATPを387個作ります。

脂質は非常に大きなエネルギー源ってことですね。

 

今回、ATP生産工場にて記載しました。

 

ATP生産工場を見てわかるように、多くの要素が関与します。

・酸素

・炭水化物、タンパク質、脂質

・FADや NADなどの補酵素 など

 

そして、この点が私たちがATP生産に関与できると考える理由です。

 

1つ例を挙げるとすれば、酸素や栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)などを輸送するのはどこでしょう?

 

答えは血管です。

 

血管機能が悪ければ、栄養や酸素もうまく細胞へ運べません。 

つまり血管機能に対し、運動療法や食事指導を行うことで、血管機能が改善し、ATPが効率的に作られれば、疲労感を軽減したり、運動のパフォーマンスを上げることも可能であるということです。

 

これが私の考える細胞レベルでの介入です。

 

今回は血管へのアプローチがATPを効率的に作れるという可能性をお伝えしました。

次回はその点について詳しく情報提供を行っていこうと思います。

人のエネルギーはなんだろう?

みなさんは人のエネルギーがなんだかわかりますか?

 

糖?脂肪?蛋白質

実はどれでもありません。

 

 

人のエネルギーはアデノシン三リン酸(ATP)です。

人はATPを分解することで、エネルギーを得ています。つまりATPがないと身体は機能しなくなります。

 

ATPはさまざまな形で、生命に関与します。

勉強中もATPは使います。

心臓もATPがなければ、血を送れません。

みなさんが立てるのも、歩けるのもATPがあってこそ。

そして動けばATPは減ります。つまり疲労に繋がることが考えられます。

 

ATPを制するものは疲労を制する。

 

つまりATPについて理解することで、患者さんの疲労を取り除けたり、アスリートの運動パフォーマンスを上げるなんて事も。

 

どうでしょうか?ATPについて、少し興味が出てきましたか?

 

でもそんな細胞レベルの話に介入できるのか?みなさんそう思いますよね?

 

次回以降はその点についてブログに書いていこうと思います。