ATP生産工場
前回からの続きです。
前回はATPが生命活動に非常に大切であるとお伝えしました。
今回はATPを理解する上で、避けては通ることができない、ATPができるまでをまとめていこうと思います。
ATPの生産工場は、各細胞にある解糖系、TCA回路、電子伝達系の3つです。
一度は聞いた事あるでしょうか?
そしてATPの元になるのは炭水化物、脂質、タンパク質です。これらが分解し、形を変えATPとなっていきます。
・炭水化物とタンパク質(アミノ酸が糖に変化して[糖新生])はグルコース
・脂質は脂肪酸
という形で材料として使用されます。
ここからATP生産について、記載していくのですが…
正直いって、教科書やネットに書いてある内容は複雑すぎる。
そこまで深く理解する必要がないというのが、勉強してみた感想です。
なのでやや簡潔にまとめていきます。
まずはどのようにATPを作るかを見ていきましょう。
ATP生産の過程を見ていくうえで、2つの過程に分けて考えていきます。
⑴解糖系とTCA回路
⑵電子伝達系
⑴解糖系とTCA回路(図1)
〇解糖系
解糖系は読んで字のごとく、糖を分解し、ATPを作っていく過程になります。
よってグルコースの元となる炭水化物とタンパク質がこの解糖系に関与します。
グルコース1個→ピルビン酸2個になる過程で、2個のATPを使用し、4個のATPができるため、解糖系で2個のATPが作られます。
〇TCA回路
TCA回路はアセチルCoAを作ることから始まります。
アセチルCoAが作る過程は2つあります。
1.解糖系よりできたピルビン酸をアセチルCoAへ変化させる。
2.脂肪酸をβ酸化させ、アセチルCoAを作る。
その後、アセチルCoAがTCA回路内に入り、複数の変化をしFADH、NADH、GTPやCO2などが作られます。
なおこの際作られたFADH、NADHは電子伝達系にて使用されます。
図1)
⑵電子伝達系(図2)
解糖系やTCA回路にて作られたNADHとFADHは電子伝達系へと運ばれます。
➀NADHやFADHからH⁺が取り除かれる。
②取り除かれたH⁺はミトコンドリア内からミトコンドリア内膜と外膜の間に出る。
③H⁺がミトコンドリア内に戻る際の反応を用いて、ATPが作られます。
④使用されたH⁺はO₂(酸素)と結びつき、水が作られます。
※電子伝達系の最終反応として水を作る際に、酸素が必要となります。
図2)
次はそれぞれの材料で、どのくらいのATPができるか。
グルコースの場合はすべての生産工場を経て、ATPを36個作ります。
脂肪酸の場合は、解糖系以外の生産工場を経て、ATPを387個作ります。
脂質は非常に大きなエネルギー源ってことですね。
今回、ATP生産工場にて記載しました。
ATP生産工場を見てわかるように、多くの要素が関与します。
・酸素
・炭水化物、タンパク質、脂質
そして、この点が私たちがATP生産に関与できると考える理由です。
1つ例を挙げるとすれば、酸素や栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)などを輸送するのはどこでしょう?
答えは血管です。
血管機能が悪ければ、栄養や酸素もうまく細胞へ運べません。
つまり血管機能に対し、運動療法や食事指導を行うことで、血管機能が改善し、ATPが効率的に作られれば、疲労感を軽減したり、運動のパフォーマンスを上げることも可能であるということです。
これが私の考える細胞レベルでの介入です。
今回は血管へのアプローチがATPを効率的に作れるという可能性をお伝えしました。
次回はその点について詳しく情報提供を行っていこうと思います。